公認内部監査人(CIA)とは内部監査に関する資格で、日本で受験できることもあり近年日本でも広がりを見せています。ACCAに合格し、正会員(Member)となった際は、通常3科目ある試験が、たった1回合格するだけで取得することができます。
ここでは、公認内部監査人や試験の概要について簡単に説明します。
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公認内部監査人(CIA)とは
CIA(Certified Internal Auditor)は、内部監査に関する唯一の国際資格です。CIAの試験は約190の地域で実施されており、資格認定を行うのはアメリカにある内部監査人協会(IIA)です。
近年、内部監査の重要性を認識する企業が増加が増加しており、それに伴いCIA資格保有者の需要も増えています。上場企業の中には内部監査がCIAによって実施されていることを有価証券報告書で開示している企業もあります。
内部監査は企業内部の組織ですが、他の部署からは独立した立場にあり、会計報告に不正や誤りがなく、企業の運営や法令遵守など適切に実施されているかのチェックが主な目的です。
内部監査の業務内容は企業により多岐に渡り、業務プロセス改善やリスクマネジメント、IT監査なども担当することがあります。内部監査は経営に影響を与える重要な組織のため、会計や財務、経営、マネジメント、ITなど、ビジネス全般の知識を体系的に習得している必要があります。
企業の監査を担当し、企業の問題や経営環境、業務内容などのチェックを行う立場として、マネジメント層と同じレベルで把握していることも必要となります。
また企業内部で内部監査を組織する以外にも、より専門的で独立した立場である外部の内部監査人に業務を依頼するケースも増えており、CIAとしての働き方も多様化してきています。
ACCAとしてCIAを受験する
CIAの資格認定を行う内部監査人協会(IIA)は、以下の会計士団体に所属する会計士資格の保有者に対し、1度の試験で取得ができるCIA Callenge Examパッケージを提供しています。残念ながら日本公認会計士やUSCPAには提供されていません。詳細はIIAのWebサイトをご覧ください。ACCA専用の説明はこちらになります。
CIA Callenge Examパッケージを受けられる会計士団体一覧
イギリス | Association of Chartered Certified Accountants (ACCA) |
オーストラリア・ニュージーランド | Chartered Accountants Australia and New Zealand (CA ANZ) |
カナダ | Chartered Professional Accountants Canada (CPA Canada) |
オーストラリア | CPA Australia |
香港 | Hong Kong Institute of Certified Public Accountants (HKICPA) |
インド | Institute of Chartered Accountants of India (ICAI) |
イギリス・ウェールズ | Institute of Chartered Accountants in England and Wales (ICAEW) |
スコットランド | Institute of Chartered Accountants of Scotland (ICAS) |
シンガポール | Institute of Singapore Chartered Accountants (ISCA) |
フィリピン | Philippine Institute of Certified Public Accountants (PICPA) |
スペイン | Registro Oficial de Auditores de Cuentas (ROAC) |
サウジアラビア | Saudi Organization for Certified Public Accountants (SOCPA) |
南アフリカ | South African Institute of Chartered Accountants (SAICA) |
CIA Callenge Examパッケージの内容
CIA Callenge Examパッケージには以下の内容が含まれています。
IIA会員 | IIA会員以外 | |
パッケージ料金 ・登録料 ・申請料 ・スタディガイド ・IPPFへのアクセス権 | $1,195 | $1,545 |
再受験料 | $795 | $945 |
スタディガイドは、オンラインでの学習ツールを提供し、以下のものが含まれます。
- 隙間時間で学習可能な、オンラインでの学習素材
- 包括的でダウンロード可能な資料
- 150の模擬テスト
- 単語帳
- IPPFについてのビデオチュートリアル
- 1年間のオンライン学習ツール
IPPFとは、専門職的実施の国際フレームワークのことで、IIAのガイダンスを体系化した概念フレームワークです。IIAが世界中の内部監査の専門職に対し、IPPFに組み込んだガイダンスを提供しています。試験対策のための、IPPFへのアクセス権がパッケージに含まれています。
CIA Callenge Examの試験概要
CIA Callenge Examにおける試験は以下の通りです。
- syllabi(試験範囲)に基づく選択問題150問
- IPPFに基づいた試験
- 試験時間は最低3時間
- 英語でのみ実施
- 750ポイント中600ポイントで合格
CIA Callenge Examでは、1度の試験でCIAを取得できるよう、3科目ある試験内容を1つにまとめているため、通常(2時間及び2時間半)よりも試験時間が長く、3時間となっています。
1回の試験だからといって簡単なものではありませんが、そのChallenge Exam用のテキストや過去問などもIIAが準備していますので、学習する環境は十分整えられています。また日本でもCIAの認知度が広がっているため、日本語テキストで学習することもできます。
CIA Callenge Examの申請ステップ
CIAの試験を受けるためには、必ずしもIIAへ会員登録をする必要はありません。しかし、IIAへ会員登録をすれば、教材や授業料の割引があったり、過去の試験に関する情報を取得できるなど、様々なメリットがありますので、一般的にはIIAへ会員登録を行うことが推奨されています。
CIA Callenge Examへの申請は、以下のステップで行います。
- Certification Candidate Management System (CCMS)でアカウントを作成(既に登録済みの場合はログイン)
- Apply for Certified Internal Auditorを選択
- CIA program for Qualified Chartered Accountants and Certified Public Accountantsを選択
- 支払い後、Letter of good standingと呼ばれる証明書とパスポート等の身分証明書をアップロード
- オンラインでの人物証明を完了
- 申請完了後、試験日程を決定
ACCA会員の場合は、以下の要領で簡単にLetter of good standingを取得できます。
- ACCAマイページにログイン
- メニューからDocuments & downloadsを選択
- Letter of good standingを選択
- 適切な意理由を選択し、Submitをクリック
CIA Callenge Examは、一般的なパソコンでインターネット環境が整っていれば自宅から受験することができます。申請の完了後、CCMSにアクセスし、Manage My ProgramからPearsonVUEでの試験を登録します。登録が完了したら、メインメニューからAccess PearsonVUEを選択し、試験日を予約します。試験予約の課程で、オンライン試験かテストセンターでの試験かを選択できます。
なお、PearsonVUEは、ACCAのリモート試験で使用されるプログラムと同一のものです。
オンライン試験の実施要領
オンライン試験は、自宅、オフィス、ホテル等、テストセンター以外の場所で実施することができる試験です。Pearson VUEから、システム要件やチェックイン手続きの要領を確認することができます。
また、こちらからシステムテストを行うこともできます。このシステムテストと全く同じ手続きを、本番の試験でも行うので、予行演習として確実に実施することをおすすめします。また、システムテストは、パソコンやインターネット接続が要件に合致しているかも同時に確認していますので、可能な限り本番と同じ環境を準備して実施しましょう。
当日のオンライン試験開始要領は以下の通りです。
- 部屋の整理整頓及び身分証明書の準備
- CCMSにログイン
- Access Pearson VUEを選択
- ダッシュボードのOpen Online Examsで、予約した試験のリンクをクリック
- Begin Examを選択
- OnVUEをダウンロードし、アプリケーションを起動
- 画面に従ってチェックイン手続きを完了
オンライン試験のチェックイン要領は、以下の記事で説明している、ACCAのリモート試験受験要領とほとんど同じのため、参考にご覧ください。
試験結果の通知
オンライン試験完了後、約24時間後に試験結果発表のメールが送られてきます。また、CCMSのAccess Pearson VUEから、View Score Reportsを選択することでも確認できます。
まとめ
公認内部監査人(CIA)は日本でも受験できるようになり、近年急速に存在感を高めています。ACCAの正会員は、そのCIAにたった1回の試験に合格するだけで取得することができます。
ACCAに合格し、正会員となった暁には、ぜひCIAも目指してみましょう。
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