ACCAと名乗るためには、13科目の全科目合格の他に、実務要件を満たす必要があります。ACCAでの実務要件は、会計や財務に関する36ヶ月以上の実務経験などが必要です。
ACCAではこの実務要件をPractical Experience Requirement(PER)と呼びます。
ここでは、ACCAの全科目合格後、正会員(Member)となるために必要な用件を説明します。
ACCAの実務要件
ACCAの実務要件では、以下を満たす必要があります。
- 会計や財務に関連する分野で合計36ヶ月のEmployment(職務経験)を、Practical experience supervisorから承認を得る。
- Essentialsで5分野、Technicalで4分野のPerformance objectivesを満たし、Practical experience supervisorの承認を得る。
ACCAの「36ヶ月の実務経験」という表現には、通常この2つの項目がどちらも含まれています。
Practical experience supervisorとは、「同じ会社で働く、ACCAである上司」と誤解されることが多いですが、実際は同じ会社の人でなくても構いませんし、ACCAである必要もありません。
Practical experience supervisorについては、次のEmploymentで詳しく紹介しています。
また、このPerformance objectivesと36ヶ月の実務経験については、マイページ上で管理、記録、申請を行いますが、これは13科目合格していなくても編集できるので、逐次自身の経験を記録していくことをおすすめします。
Employment
36ヶ月のEmployment(職務経験)は、マイページ上で職務経歴の詳細を登録します。会計や財務に関連している職務であれば問題なく、 また試験合格前の経験でも大丈夫です。
マイページ上で、在籍している会社情報と、そこでの役職や役割を登録します。企業は1社である必要はなく、転職などを経験している場合は2社、3社と登録ができます。それぞれの勤め先での最低勤務年数の要件はなく、連続している必要はありません。
職務経験が36ヶ月に満たない場合でも記録することができますので、定期的にアップデートしましょう。
また、ここでPractical experience supervisorを登録することができます。Supervisorの氏名、メールアドレス、申請者との関係、役職名を記載すると、Supervisorに招待が送られます。
申請者との関係についてですが、以下の4つから選択することができますので、適切なものを選択しましょう。
- IFAC qualified line manager
- Non IFAC qualified line manager
- IFAC qualified internal supervisor
- IFAC qualified external supervisor
選択肢の詳細は以下の通りです。
- IFAC qualified line manager
公認会計士である直属のラインマネージャーで、Employment及びPerformance objectivesを承認することができます。
- Non IFAC qualified line manager
公認会計士でない直属のラインマネージャーで、Employmentを承認することができますが、公認会計士ではないためPerformance objectivesを承認することはできません。追加で直属のラインマネージャーから助言を得ることができる公認会計士を登録し、Performance objectivesを承認することができます。
- IFAC qualified internal supervisor
シニアマネージャーや他部署のマネージャーなど、公認会計士である同勤務先の管理者で、直属のラインマネージャーからの助言を得てEmployment及びPerformance objectivesを承認することができます。(Employmentは、管理者と申請者の関係によっては承認することはできません。)
- IFAC qualified external supervisor
外部監査人やコンサルタントなど、公認会計士であるが、異なる勤務先の管理者で、直属のラインマネージャーからの助言を得てPerformance objectivesを承認することができますが、勤務先が異なるためEmploymentを承認することはできません。
Performance objectives
Performance objectivesは、ACCAのマイページから自身のPerformance objectivesに関する実務経験を具体的に記載し、Practical experience supervisorに承認を受ける必要があります。
Essentialsの5分野及びTechnicalの4分野は下記の通りです。
- Essentials(5分野全て必須)
- Ethics and professionalism
- Stakeholder relationship management
- Strategy and innovation
- Governance, risk and control
- Leadership and management
- Technical(4分野を選択)
Corporate and business reporting
- Record and process transactions and events
- Prepare external financial reports
- Analyse and interpret financial reports
Financial management
- Evaluate investment and financial decisions
- Manage and control working capital
- Identify and manage financial risk
Management accounting
- Evaluate management accounting systems
- Plan and control performance
- Monitor performance
Taxation
- Tax computations and assessments
- Tax compliance and verification
- Tax planning and advice
Audit and assurance
- Prepare for and plan the audit and assurance process
- Collect and evaluate evidence for an audit or assurance engagement
- Review and report on the findings on an audit or assurance engagement
Advisory and consultancy
- Business advisory
Data, digital and technology
- Data analysis and decision support
上記の通り、ACCAの実務経験は会計監査以外にも、リーダーシップやマネジメント、テクノロジー分野など多岐にわたるため、必ずしも監査法人や会計事務所に所属しなくても実務要件を満たすことができます。
マイページ上で、Essentialsの5分野と選択したTechnicalの4分野のそれぞれについて、具体的な経験を200から500ワード程度の英語で記載し、承認をもらいます。
Performance objectivesについては、こちら(PDF)に各分野の詳細が記載されています。
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