IFRS(国際会計基準)ポイント講座 第3回「キャッシュフロー計算書」

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ACCAの財務会計科目であるFinancial Accounting(FA)Financial Reporting(FR)Strategic Business Reporting(SBR)を中心に必要となる、IFRSの基礎知識についてお伝えします。

ACCAの科目試験に最低限押さえておきたいポイントを中心に解説していきます。学習の前提については、IFRSポイント講座 第0回「IFRS講座の前提」をご覧ください。

今回は、「キャッシュフロー計算書」についてお伝えします。

第3回で学ぶ基準
IAS第7号「キャッシュフロー計算書(Statement of cash flows)」

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キャッシュフローとは

キャッシュフローとは、企業がどのように資金を得て、どのように使ったのかという資金の流れを表します。

キャッシュフローで考慮される「キャッシュ(Cash)」とは、現金だけのことを指すわけではありません。

現金の他に、預金や、流動生(Liquidity)が高く実現する金額が合理的に予想きる資産も含まれます。流動性が高いとは、その資産を現金化したいと思った時に、どれだけ早く現金化できるかが考慮され、3カ月以内実現できるものはキャッシュとみなされます。例えば、3カ月以内に満期となる投資信託や定期預金があります。

財政状態計算書(Statement of financial position)や損益計算書(Statement of profit or loss)を作成する際は、現金の動きよりも取引の実態を表す発生主義(Accrual basis)が採用されています。

例えば、100円の商品を掛け売りした場合、仕分けは以下の通りになります。 

Dr(借方)売掛金(Trade receivable)100
Cr(貸方)売上(Sales)100

ご覧のように、この取引にキャッシュの動きはありませんが、損益計算書では売上が計上されます。しかし、キャッシュが入ってきていませんので、会計上の売上とキャッシュの収支は一致しません。

そのため、企業の利益を示す損益計算書の他に、キャッシュの動きを表すキャッシュフロー計算書が必要になります。

損益計算書で企業の利益を報告しているにもかかわらず、わざわざキャッシュフロー計算書を作成する理由は、損益計算書や貸借対照表では追うことができない資金の流れをすめすことができるからになります。

上記の例でも、商品を掛け売りし、損益計算書で売上を計上しますが、キャッシュがまだ入ってきていないので、手元のキャッシュはゼロということになります。極端に言えば、100億円の売上が計上されているにもかかわらず、手元のキャッシュはゼロという状況も起こり得ます。

黒字倒産とは、簡単に言えば、売上や利益がしっかり出ていたとしても、キャッシュが不足しており、債務不履行に陥り倒産することです。

そのため、企業が売上だけでなくしっかりキャッシュを稼げているかを確認するためにキャッシュフロー計算書が必要になります。

キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書は、以下の3区分に分類されています。

営業活動によるキャッシュフロー(Cash flow from operating activities)

営業活動によるキャッシュフローは、本業によりキャッシュを稼げているかを示し、プラスであることが望ましくなります。

投資活動によるキャッシュフロー(Cash flow from investing activities)

投資活動によるキャッシュフローは、営業活動や財務活動によるキャッシュフローからのキャッシュを使い、設備や機械にどれだけ投資をしているかを示し、マイナスであることが望ましくなります。

財務活動によるキャッシュフロー(Cash flow from financing activities)

財務活動によるキャッシュフローじゃ、投資家や金融期間等の債権者からどれだけのキャッシュを借り、どれだけ返したかを示します。

ACCA試験で登場するキャッシュフロー計算書(SCF:Statement of cash flows)の代表例は以下の通りです。ACCAの試験対策用になりますので、実務上のキャッシュフロー計算書とは異なる部分もあります。また、ACCAの問題を通して他の表示方法や課目名で登場することがありますので、柔軟に対応する必要があります。

Statement of cash flows for the year ended 31st December 2021

 $’000s$’000s
営業活動
Operating activities
税引前利益
Profit before tax
 X 
減価償却費
Depreciation/amortisation
 X 
減損
Impairment
 X 
固定資産売却損(益)
Gain/loss on disposal of tangibles
 X/(X)
子会社売却損(益)
Gain/loss on sale of subsidiary
 X/(X)
持分方による利益
Share of associates profit
(X)
未払利息
Interest payable
 X 
棚卸資産の減少(増加)
Increase/decrease
in inventory
 X/(X)
債権の減少(増加)
Increase/decrease in
receivables
 X/(X)
債務の増加(減少)
Increase/decrease in
payables
 X/(X)
営業によるキャッシュフロー
Cash generated from operations
 X 
支払利息
Interest paid
(X)
支払い税金
Tax paid
(X)
営業活動によるキャッシュフロー
Cash generated from operating activities
 X 
 
投資活動
Investing activities
有形固定資産売却による入金
Sale proceeds from tangibles
 X 
有形固定資産の購入
Purchase of tangibles
(X)
関連会社からの受取配当金
Dividend received from associate
 X 
子会社の処分(取得)
Disposal/acquisition of subsidiary
 X/(X)
受取配当金
Dividends received
 X 
投資活動によるキャッシュフロー
Cash generated from investing activities
 X 
 
財務活動
Financing activities
株式発行による入金
Proceeds from share issue
 X 
借入金(返済)
Loan issue/repayment
 X/(X)
支払配当金(NCI持分)
Dividend paid to NCI
(X)
支払配当金(自己持分)
Dividend paid to parent shareholders
(X)
財務活動によるキャッシュフロー
Cash generated from financing activities
 X 
 
現金及び現金同等物の変動
Change in cash and cash equivalents
 X/(X)
現金及び現金同等物期首残高
Opening cash and cash equivalents
 X 
現金及び現金同等物期末残高
Closing cash and cash equivalents
 X 

キャッシュフロー計算書の作成

キャッシュフロー計算書の作成に当たっては、直接法(Direct method)と間接法(Indirect method)の2種類があります。

直接法は、ゼロから企業の1年間のキャッシュの動きを追いかけて作成する方法で、多大な労力がかかります。一方間接法は、損益計算書の結果(当期純利益または税引前利益)から、キャッシュの動きを追いかけて作成する方法です。

実務上でも、ACCAの試験においても、基本的には間接法が使われます。

以下、ACCAでのキャッシュフロー計算書作成の問題が出た際のポイントになります。

  1. キャッシュフロー計算書のアウトラインを作成する

以下の各項目を回答用紙に記入します。

  • 営業活動によるキャッシュフロー
  • 投資営業活動によるキャッシュフロー
  • 財務活動によるキャッシュフロー
  • 現金及び現金同等物
  • 計算過程
  1. 現金及び現金同等物の変動、期首残高、期末残高を埋める

通常問題文に記載のある項目なので、確実な得点源にしましょう。

  1. 損益計算書からの情報を転記する
  • 税引前利益を記載する
  • 税引前利益から上の項目を記載する
  •  金融費用(支払利息など)を足す
  •  金融収益(受取配当金など)引く
  • 税引前利益から下の項目を記載する
  •  支払税金を引く
  •  支払配当金を引く
  1. 財政状態計算書からの情報を転記する
  • 運転資金項目(棚卸資産、債権、債務)の増減を記載する
  •  資産項目の増加➡︎キャッシュのマイナス
  •  資産項目の減少➡︎キャッシュのプラス
  •  負債項目の増加➡︎キャッシュのプラス
  •  負債項目の増加➡︎キャッシュのマイナス
  • 借入金の増加又は減少を記載する
  • 株式発行による入金を記載する
  1. 追加情報を記載する
  • 非現金項目を記載する
  •  減価償却費や減損などを足す
  •  固定資産売却益を引く

単語帳

キャッシュフロー計算書Statement of cash flows
流動性Liquidity
投資信託Investment trust
定期預金Term deposit
発生主義Accrual basis
投資家Investors
債権者Creditors
直接法Direct method
間接法Indirect method
税引前利益Profit before tax
PBT
金融費用Finance cost
支払利息Interest paid
金融収益Investment income
受取配当金Dividend received
支払税金Tax paid
支払配当金Dividend paid
運転資本Working capital
棚卸資産Inventories
債権Receivables
債務Payables
借入金Borrowings
非現金項目Non-cash items
減価償却費Depreciation
Amortisation
減損Impairment
固定資産売却益Gain on sale of PPE

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