ステークホルダーとは、株主や経営者、従業員、労働組合、金融機関、取引先、顧客、地域、環境、政府当局など、企業活動により直接的又は間接的に影響を受ける利害関係者のことです。
全てのステークホルダーの利害は必ずしも一致しないため、企業は各ステークホルダーのPower(力)とInterest(関心)のバランスをとりながら運営していく必要があります。ステークスホルダーをマッピングする手法は多くありますが、ACCAでは主にMendelowマトリックスが使用されます。
Mendelowマトリックスは、組織のステークホルダーをPowerとInterestの観点から評価・分析するためのツールで、Business and Technology(BT)やStrategic Business Leader(SBL)、Advanced Performance Management(APM)など、ACCAの全てのレベルの試験で登場します。
ここでは、Mendelowマトリックスの基本的な説明や使い方、ACCA試験で効果的に活用するポイントなどを説明します。
コンテンツ
ステークホルダーのPower(力)とInterest(関心)とは
Power(力)
Power(力)とは、影響力、つまり、組織や個人の特定の行動方針について説得や強制する力のことを言います。ステークホルダーのPowerとは、企業に与える影響力のことを言います。購買や仕入の観点から見れば、調達に関わる活動への影響力ということになります。
例えば、顧客であれば企業からの購入を止めることができ、仕入先であれば仕入れを止めることで、企業に大きな影響を与えることができます。また、政府の方針もビジネスに大きな影響を与えます。
Interest(関心)
ステークホルダーが企業に及ぼす影響について説明しましたが、ステークホルダーがいつ、どのようにその影響力を行使するかは、また別の分析が必要になります。
Mendelowマトリックスの観点では、InterestはステークホルダーがPowerを行使する可能性のレベルと言えます。ステークホルダーが特定の問題や意思決定に関しての関心レベルの高さが、Powerを行使するモチベーションの強さとなります。
Mendelowマトリックスの使い方
Mendelowマトリックスの使い方はシンプルで、2×2のマトリックスを作成します。ステークホルダーをPowerとInterestのレベル別に、最も一致するカテゴリーにマッピングしていきます。
それぞれのカテゴリーについて、以下で説明します。
Minimal Effort
このカテゴリーにいるステークホルダーは、企業に対して大きな関心がなく、また影響力も大きくありません。少ない金額や量の取引している仕入先が、この区分に当たります。
このカテゴリーの意思決定は企業に対して極めて小さい影響しかありません。そのため、このカテゴリーのステークホルダーを満足させるために企業のリソースを無駄にしないように注意しなければなりません。
このカテゴリーに分類されるステークホルダーは、最小限の労力(Minimal Effort)で対応します。
Keep Informed
このカテゴリーは、企業に対して高い関心(High level of interest)があるが、影響力が小さい(Low level of power)ステークホルダーです。
このカテゴリーのステークホルダーは、企業運営に対しての影響力を高めようとするため、重要な存在になります。従業員や病院等で働くボランティアがこのカテゴリーに当たります。
このカテゴリーに対しては、コミュニケーションなどを通じて、計画や結果を報告し続ける対応(Keep informed)が重要です。
Keeping Satisfied
このカテゴリーは、企業に対して高い影響力(High level of power)を有していますが、現在のところ関心が低い(Low level of interest)ステークホルダーです。
このカテゴリーのステークホルダーは、もし企業活動の結果などに不満が発生した場合、関心のレベルが高まるため、注意が必要です。政府機関や規制当局、大規模な仕入先や、他部署の経営層もこのカテゴリーに分類されます。
このカテゴリーに対しては、関心のレベルを高めないために、満足させ続ける(Keep satisfied)必要があります。
Key Players
このカテゴリーは、影響力のレベルが高く(High level of power)、かつ関心も高い(High level of interest)ステークスホルダーになります。主要顧客や仕入先、トップマネジメントがこのカテゴリーに分類されます。
このカテゴリーに対しては、早期の関与や参加を促し、サポートを受けられるように、このカテゴリー(Key players)の目標と企業の目標を一致せる必要があります。
Mendelowマトリックス分類のポイント
- ニーズや期待が企業の方針や優先順位を変える可能性のあるステークホルダーの識別
- 企業活動やその結果により、関心に最も影響を受けるステークホルダーの識別
- 継続的な関与が必要なステークホルダーの識別
- 企業リソースや最大のアドバンテージの有効活用のための、ステークホルダーの関心の優先順位付
ACCA試験でのポイント
ACCA試験で、企業に影響を及ぼす関係者が登場し、誰がどのように影響を与えるかといった問題が出題された場合、まずMendelowマトリックスを思い浮かべましょう。
Mendelowマトリックスの使い方自体は難しいものではないので、自身の勤め先などに当てはめてみると、いい練習になると思います。
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